前額形成でも書くよ!美容整形物語

明日前額形成の手術を受ける。

 

 

「あなた、そのおでこおじいちゃんにそっくりね。」

 

幼心に、傷ついた。

 

祖父の家に遊びに行くと、必ず言われるその言葉に、辟易していた自分がいる。

40歳になった今でもその言葉、その光景を鮮明に覚えているのは、よほど悪い記憶だったからに違いない。

 

私のおでこは、両目の中心からおでこに向かって一直線に進むと、ポコっポコっと、小さな起伏がある。

良く見ないとわからないが、触ってみるとその出っ張りがわかるし、一時にしてしまうとついつい目が行ってしまう、そんなレベルの出っ張りだった。

 

どうやら母親は、父の両親、家が嫌いらしい。

小学生に上がる前には、そのことに気が付いていたと思う。

母親は父の前でも構わず、両親の悪口を言っていた。思い出せばきりがないが、とにかく私は、自分が結び付けられるのが嫌で嫌で仕方なかったのだ。

私にはどうしようもできない理由で、彼らを否定すること。私にはそれをどうにかする選択肢もなければ、それを言われて言い返す言葉も見つからず、ただ笑って過ごすだけだった。

母親に悪意がなく、自慢の娘の欠点を強いて挙げるとするなら、という枕詞を入れて、そういっていただけなのかもしれない。

でも、欠落には違いがなく、それはコンプレックスとして私の心に焼き付いてしまった。

 

大人になり、化粧をするようになったとき、再びおでこの出っ張りが気になって仕方がなくなった。

小学校から高校、大学まで前髪を下していたから、おでこのコンプレックスは忘れていた。いや、正しく言うと、完全に忘れていたわけではなく、それを考えずに済んでいたのだ。

しかし、就職となったとき、今までのようにダラリと前髪を下す選択肢が取れなくなってしまったのだ。

もちろん、ある程度は隠すことができる。でも化粧をする。その時に自分でおでこを見て、触らなければならない。

初めておでこにファンデーションを塗ったとき、一本の糸がピーンと張りつめたかのように、自分の記憶が過去から未来まで連なっていった。

このおでこと一生付き合わなければならない。

今後もずっとおでこを見て、それを隠そうとするんだろう。そう考えたとき、背中から腰にかけて、一筋の汗が滴り落ちるのを感じた。

その冷たさと不快感、おでこを見る自分の姿に、少しめまいを感じたとき、私は一つの決意をした。

このコンプレックスを消そう、と。

 

半年後、私はある美容クリニックのカウンセリングを受けていた。

そう、前額形成術を受けるために。