美容整形物語~鼻骨骨切術

面と向かって鼻が大きいね、なんて言う人はめったにいない。

でもたまに、いる。

その時私はこう思う。

「大きいのは鼻だけじゃないんですよ。もう一つ、あなたから見えないところも大きいんです。だから、私の鼻だけを見て、私の外見を知った気にならないでね、って」。

なんだか回りくどいかもしれないけど、私のカラダには人から見えるコンプレックスと、そうでないコンプレックスの2つがある。

一つは鼻、もう一つはアソコ。何が大きいかは、あえてここには書かない。

どちらのコンプレックスも生まれつきだ。生まれつきに大きい。だから自分では普通だと思っていて(特にアソコのほう)、気にしたことはなかった。鼻は思春期を過ぎてから、骨格が出来上がったころかな、同級生の男の子に言われて意識し始めた。

決定的だったのは、好きな子に鼻が大きいってことを言われてからだ。直接言われたわけじゃなく、間接的に人づてで聞いたのだが、とてもショックだった。

鼻が大きい、高いのではなく、大きい。顔は面長なので、より強調されるのかもしれない。この鼻を巡って、よく両親とケンカした。

いまではとても恥ずかしく、後悔ばかりが先にくる思い出だが、当時は真剣に、なんで鼻が大きいのか、忌ごとをぶつけた。

自分にとって、まったく異物感のない鼻。でも他人にとってはよほど目立つらしく、人と対面したとき、ほとんどの人の視線が目を外し、視線に落ちるのに気が付いた。

普段、気にしはしない、でも視線が落ちる。自分が気にしているからそう感じるだけなのか?やはり視線が気になる。もちろん、気にしないようにする、でも視線が落ちていく…ように感じる。

そんなことを繰り返していくうちに、意識せずにはいられなくなっていく、自分の鼻。

異形なのだろう。普通の鼻じゃない。ほかの人にとっては。

そう自分に言い聞かせ、「異形の鼻を持つ自分」を受け入れようとする。だけど、そんなことが簡単にできるはずがない。

身体の一部であり、常に人の目に触れるからだ。もう一つのコンプレックスは人の目にめったに触れることはない。特定の人にだけ見せるだけ。特定の人はほとんど、自分のすべてを知っている人になる。すべてを受け入れてくれる人だから、たとえコンプレックスでも見せられる。厳密に言えば、それはコンプレックスではないのかもしれない。見られたくない所といえばいいのかも。

見られたくないのは鼻も一緒、でも隠れていない、隠すことができない。そのもどかしさは、私の人生で結構大きな異物感として、大きくいびつに膨らんでいる。

だから決意した。美容整形、鼻骨骨切の手術を受けに行こうと。